突然だが、私は彼氏に振り回されている。
けれど、そんな彼が好きなんだ。
ある時は
「!出掛けよう!」
「キース?…まだ朝の5時よ…?」
「早ければ早いほど一緒に過ごせる時間が多くなるじゃないか!」
こうしてキースに絆されて、まだ朝日も昇らない時間から出掛ける羽目になることもしばしば…。
またある時は
「〜。」
「わっ!どうしたの、キース?」
「なんでもないが。」
「…重いんだけど。」
「気にするな、そして気にするな。」
机に向かって仕事をしていると、後ろから覆いかぶさるようにしてキースに抱きしめられ、それから暫く離してくれなかった。
そして、今日、今、現在進行形、
「!空を飛ぼうじゃないか!」
「えぇっ?!」
「さぁ、行こう!」
ヒーロースーツを身に纏ったまま私の前に現れたキース。
けれど顔は隠さないまま、私を抱え上げ、キング・オブ・ヒーローは空を飛ぶ。
「きゃあっ!」
「スカイハーイ!ハハハハハッ!」
私はキースに所謂プリンセスホールドをされたまま、空高く飛んでゆく。
「…どうだ、。」
「何が…っあ、わぁ…!」
キースの首にしがみ付きながら、眼下に広がる夜景に見惚れる。
キースは私に、この景色を見せに来てくれたのだ。
「…綺麗。ありがとう、キース。」
「こちらこそ、ありがとう、そしてありがとう。」
「どうしたのよ、キース。」
「こんな私についてきてくれて。」
そういって私を抱きしめてくれるキースの腕は、こんなにも暖かい。
モドル