神経を引きちぎるような




それでいて




見事に溶け合った協和音の中




第二中隊は駆ける。




白色燭燐弾の光が徐々に消え




闇がまた降りつつある。









(加えて敵は未だ全軍が混乱中…気付かれずに回り込めそうだ。)




ここまで随分と走ってきた。




ちら、と隣のの様子を伺う。




やはり女の体力でこれは辛いだろう。




ぜいぜいと荒い呼吸が収まらないでいる。




「中隊長殿!左十刻方向!」




かけられた声にその方向を見遣る。




「敵銃兵、中隊程度、射撃準備中!あれは大隊主力を狙っているのでは…」




こちらに背を向け、完全に気付かれていない。




大隊主力を狙っているのもその通りだろう。




見つけた隊員の背をばんと叩き、号令を発する。




「目標!左十刻方向敵部隊!続けェ!」




もちゃんとついて来ている。




確認し、こちらに背を向けている“帝国”軍を殺していく。




「損害は皆無です。こちらに背を向けて装填中でしたから。連中さしたる抵抗も出来ませんで。」




猪口曹長の報告を聞きながら、冷や汗に体温が下がる。




大した抵抗はして来なかったが、抵抗をして来なかったわけでもない。




やはり未だ戦争に、大量に人を殺し慣れないにこれはきつかったようだ。




急所を一度で狙い切れずに、反撃されかけたのを何度か援護してやった。




まぁ、これで本当に大義名分が果たせているのだから問題はない。




隣で悔しそうに俯くの頭に手を置く。




「気にするな。これはお前の役目なんだから。」




「役目…?」




本当にわからないといった表情をする。




「あぁ。僕に守られるというのが、、君の役目だ。」




今度はまた違った意味で俯いてしまった。










モドル