先刻は僕のほうが顔を赤くしたが、今度はの顔が赤くなった。 「、顔が赤いぞ。どうかしたのか?」 お、今度は全身が硬直した。 一々返ってくる反応が新鮮で、愛らしい。 「…ところで、。」 「何でしょう…。」 「は歳は幾つなんだ?」 僕と一之丞とのやり取りを見ている限り、は東州での内乱のことを知らない可能性がある。 とすると… 「…今年で19になります。」 「犯罪寸前、か。」 「今何か仰いました?」 「いや?」 「…ところで新城中尉。」 顔の赤みが引かないまま、寧ろさらに紅潮させ、は細い声で言う。 「な、何故わた、自分を昔の名でお呼びになるのですか。」 苛めてやりたくなる。ただ、それだけだ。 「僕が“拾った”からな。」 「っ!」 「それに、君が“女”であってよかったとすら僕は思っているんだ。」 「私が、女で…?」 そう。彼女が女であったから。 だから、『』に対して抱き始めていた気持ちに名が付けられる。 『』が本当に男であったなら、今、こんなに余裕などない。 「じゃないとこんな事、できないだろう?」 言いながらの身体を、今度は黙らせる為にではなく、自分の気持ちを伝えるために抱き締めた。 「し、新城中尉ぃっ?!」 「直衛だ。」 「は?!」 「僕の名だ。」 「なお、え…」 次第に強張っていたの身体の力が抜けてくる。 「。今日会ったばかりで申し訳ないが、僕は君の事を大切に想っている。」 「たい、せつ…に?」 あぁ、いけない。 零れ出した言の葉、想いは綴り始めたら止まらない。 「だから僕が守ってやる。絶対に死なせない。君もその生涯を懸けて約束しろ。僕が死ぬまで、死なないと。」 言っている内に顔が熱くなってくる。 見られたくなくて、の頭に手を回し、ぐ、と僕の身体に押し付けた。 息苦しくはないだろうか。 しかし僕の想いとは裏腹に、は僕の身体に腕を回し、言う。 「じゃあ私にも約束してください、新城中尉。」 「…なんだ。」 「新城中尉もその生涯を懸けて私を守ってください。決して私を置いて往かないでください。」 生きるも死ぬも、どこまでも一緒だと。 「わかった、約束しよう。」 「じゃあ私も約束します。」 そのまま互いの瞳が互いを映し、どちらからともなく、唇が重なり合った。 モドル |