随分と久しぶりに胃が満たされる。




「おいおい、そんなにがっつくなよ。咽る」




「ゲフゴフッ!」




「…言わんこっちゃねぇよ…」




「だ、大丈夫かい、君?!」




「あ、あぁ…大丈夫…。」




人の言うことは聞くもんだ。




兵藤の忠告の直後に見事に咽せ、大事な食料を無碍にする所だった。




挙句妹尾にも心配を掛けて…あぁ、駄目だな、私は。




「…おい、。」




「 … … 」




「…君?」




「あ?あ、あぁ。」




「ったく、大丈夫なのかよ、本当に。」




「だ、大丈夫だ!さっきは本当に腹が減ってただけで…」




「あーあーわかりましたよ、そーゆー事にしといてやるよ。な、妹尾?」




「え、僕?!」




何だか二人の遣り取りに、笑えて。




「ふふっ。」




「「?!」」




「…?どーかしたか、2人とも。」




「「…イヤ…」」




思わず声が漏れたら、二人の動きが同時に止まっていた。




一体どうしたと言うのだろうか。




「…まぁいいや。ゴチソーサマ!」




お椀と箸を置き、手を合わせて言った。




「ありがとな、兵藤、妹尾!」




二人は揃って満更でもない様な表情をした。




食器を片付け、また二人の元へと戻る。




「っはー、生き返ったー!」




「そりゃあ良かった。あんな所で死なれちゃ剣虎隊皆気が気じゃねーぜ。」




「そりゃどーも。さ、て…」




「?」




妹尾がこっくりと首を傾げる。




「部屋に戻れないんだけども。」




あー兵藤に殴られるだろうなーと何処か客観的に思っていると本当に真上まで振り翳された拳骨を
妹尾にギリギリの所で止められた。




すかさず妹尾の背に隠れ、兵藤から距離を取る。




「だって!ここまで来られなかったのに部屋まで辿り着けると思うか?!」




「そりゃ…そーだけど…っち!」




舌打ちをしながらも先頭を切って歩いていく兵藤に今度はへばり付く。




「さーっすが兵藤!イイ奴!」




「で?!お前の部屋はドコなんだ?!」




「新城中尉の部屋。」




「 … … 」




「 … … 」




あぁ、そういえば言ってなかったっけ。




「 … … 」




「 … … 」




「ヨロシク!」




「 … … 」




「 … … 」










モドル