今日入隊したばかりの私に宛がわれる部屋があるはずも無く。




これから一部将校らによる軍議があるために時間に空きが出来る。




その間をどこで過ごしたらいいものか…。




「おい。」




の所にでも居ようかな…。




「…おい、。」




漆原少尉とか兵藤少尉の所にでも居座ろうか。




いや、彼らも軍議に出るかもしれない。




「おい!安藤!!」




「あ゙!い゙だだだだだだだ!」




耳元でしかも大声で名を呼ばれたと思ったら後ろから米神を左右から物凄い力で押し潰された。




「何度も呼んだだろう。一度で答えない君が悪い。」




「は…スンマセン…」




そして再び私の前を新城中尉は歩き始める。




「今日入隊したばかりだ…休む部屋どころか空いている部屋も無いだろう。」




「はぁ…。」




「付いて来い。」




「は?」




それ以降、何も会話の無いまま私達は廊下を歩いた。




そして着いたのは障子の前。




いや、この廊下見渡す限り障子しかないのだが。




「ここだ。」




「…ここは?」




障子を開け新城中尉が中に入っていくので私もそれについて入り、後ろ手で障子を閉めた。




室内は意外と広く、このままここ一室を借りられるんじゃないかと内心期待してしまった。




「僕の部屋だ。」




「…はぁ?!」




また違った意味で心臓に悪い。




「一人で使うには広すぎると思っていたんだ。」




「あはは…そ、そうですか…。」




「そうだな…、君はここを使うといい。」




「…ここって…」




指された場所は何とも狭い所だった。




「押入れじゃないですか!」




私にこの狭い押入れの中でまるで行き場の無い居候の様に過ごせと?!




「…冗談だ。この室内、好きに使うといい。僕はこれから軍議だ。」




防寒具を脱ぎ壁に掛け、しれっとした風に冗談だと言い放つこの人に少なからず殺意を覚えた。




「…初の実地で疲れただろう。次の作戦までゆっくりするといい。」




それだけ行って新城中尉は部屋を出て行った。




仕方が無いので私も防寒具を脱ぎ、壁に掛けた。










モドル