中隊全員を前にこれからの作戦内容を伝えた。




すると、一人の小隊長が異見を述べた。




名は…漆原。少尉だったか。




「掴んだ情報は全て本部へ送っている。我々は任務は果たしている。」




次に口を挟んだのは尖兵小隊長…兵藤、こちらも少尉。




遅滞部隊の厄介さを漆原少尉へ説明した。




そして僕を業とらしく“中隊長殿”と呼ぶ。




「僕は代理だ。疑問は無いか、第一小隊長。」




「はい!」




…やけに真っ直ぐこっちを見てくる。




「…あれ。」




隣のが声を上げた。




「兵藤に漆原じゃないか。」



「…今気が付いたのかよ。」




「あ、あははは…」




君って、天然?」




他愛無く、笑い合う。




じゃれ合う。




…何故だろう、無性に胃の辺りがムカムカしてくる。




いけない…平常心を保たなくては…




「尖兵小隊長。尖兵諸君の背嚢は橇に乗せたまま銃はいつでも使える様にして前衛についてもらう。」




「了解。」




「勿論前衛には僕と僕の猫も加わる。最後尾は猪口曹長にしめて貰う。以上、わかれ!」




それぞれがそれぞれの持ち場につく中、だけはその場から微動だにともしなかった。




「…あの、新城中尉?」




「何だ。」




「自分は…?」




「 … … 」




「 … … 」




「…あぁ、忘れていたな。」




「そんな?!」




「…勿論冗談だ。」




付け足すとは安心したように一つ息を吐いた。




「半分本気だったが。」




「今何か?」




「いや。」




「…もういいですよ。で、じ・ぶ・ん・は?!」




「僕と一緒に前衛につけ。後ろにいるより僕の隣にいるほうが安全だ、し…それに」




「それに…?」




「もし敵が来ても守ってやれる。」




「 … … 」




「 … … 」




「 … … 」




「…何だ。」




「新城中尉、そーゆーコトは!」




「 … … ? 」




「生涯愛する女の為に取っておくべきですよ!」




「?!」




「ははっ!新城中尉、顔真っ赤!」




口元に手を当てて上気する顔の半分を隠す。




…また僕は変な気を起こしかけたのか?










モドル