背をばん、と叩かれ、兵達の中へと押しやられる。 「わわ、わ!」 「ホラ、少しは仲間と話をしてこい。」 まるでネズミ…そう、周りを大群の猫に囲まれた獲物だ。 「あ、よ、ヨロシク。」 固まる私にが擦り寄ってきた。 「わぁ、大きな猫だね!オス?メス?」 「あぁ、はオスだよ。」 「へぇ…随分と慣れてんだな…。」 「うん。小さい頃からずっと一緒だったんだ。」 先陣を切って話しかけてきたのは順に漆原少尉、兵藤少尉というらしい。 彼らに続いて他の者達からも次から次へと質問攻めにあった…。 少々、キツイものがある。 暫くすると大隊長殿との話を終え、身支度を整えた中隊長殿――若菜大尉が姿を現した。 「何をしている、出発だ!…ん?見ない顔だな…」 「は。申し遅れました。安藤と申します。」 「今回の作戦から第二中隊に参加することになりました。」 新城中尉殿が補足するように言葉を続けたが、中隊長殿は一気に顔を顰め、嫌そうな色を濃くした。 「何を勝手な事を!誰も許可していないぞ!」 「…伊藤大隊長殿が。」 「はぁ?!」 「…大隊長殿に彼を保護した時に処遇について相談し、第二中隊に入る事を許可されました。」 信じられない、といった表情で中隊長殿は未だ縁側にいる大隊長殿を見た。 大隊長殿はというと、堂々とその場に…佇んでいた。 「クソっ…こんな小僧、1人2人増えた所で何も変わらんだろうっ!」 中隊長殿の発した大きな声に驚いたのか、がグルル…と声を上げた。 「ひ、ヒイィっ!?」 「、落ち着け…」 宥める様に喉や頭を撫でてやるとやがてゴロゴロと擦り寄ってきた。 「…小僧1人だけではありません。猫も居ります。」 「といいます。礼儀を知らない子で申し訳」 「しゅ、出発だ!準備をしろ!」 私の言葉を遮る様にして中隊長殿は歩いていってしまった。 残された私はやがて歩き出した新城中尉殿について歩き出した。 モドル |