あたた、かい…。 がそばにいるの、だろうか…。 いや、違う…?これは… 「気が付いたか?」 「…ここ、は…?」 「開念寺だ。君、こんな所で何をしている。」 「何を、とは?」 「…ここは戦場、しかもど真ん中だ!こんな所に一般人がいるなんて…正気じゃない。」 「そうですよ。自分は…正気なんか持ち合わせていない。」 そんな事、言われなくてもわかっている。 目の前の人…ギロリとした三白眼で私を睨み付け、やがて呆れたのかはぁ、と息を吐いた。 「…あの猫は、君のか?」 「はい…。と、いいます。」 「良い猫だ。雪の中倒れた君の傍から離れず、千早と僕を君の所まで呼んだ。」 つまりは、この人に助けられたのか。 「ありがとう、ございます。」 「で。何故こんな所に居たんだ。」 一転してぶすっとした声、表情で先程と同じ問いを投げ掛けられる。 「…剣虎隊に、志願したかったのです。共に、闘いたかったのです。」 敢えて主語を言わずに問いに答えた。 この人は、私のこの言葉を、どう受け止めるのだろう。 「如何して本部へと向かって歩けた?」 「途中…西田少尉と、言葉を交わしました。…すぐに、息を引き取られてしまわれましたが…。」 三白眼が、僅か、見開かれた。 この人は西田少尉と親しかったのだろうか。 気持ち沈んだ空気を一転させようと、背を伸ばして向き直った。 「申し遅れました。自分の名は『安藤』、といいます。」 「新城直衛中尉だ。君の処遇については軍議の後、通達しよう。」 「はい。」 モドル |