1年経つのなんか、あっという間だ。
つい先日新年を迎えた気がするが、気が付けば今日は大みそかだった。
というのに私は親に家から追い出され、隣の家へ転がり込んでいる。
(母曰く、新年は彼氏と過ごしなさいということらしい。)
で、だ。
私となおちゃんは今、もめている。
「いいじゃん、このままで。」
「いーやダメだ。絶対に着てもらう。」
「振袖の着付けの仕方なんて知らないし、大体肝心の振袖持ってないし!」
「そこは安心しろ。」
と言って、クロゼットを開けるこの家の次男坊こと私の彼氏様。
嫌な予感しかしない。
「振袖は僕が選んで用意してあるし、着付けもできる。」
「…嘘だろおい…。」
「ついでに脱がせる方も任せろ!」
「任せられるか!!」
しかし…着るつもりなんかなかったにしろ、目の前に出されてみると正直、着てみたくなるのが乙女心なんだろう…。
いや、これに負けたらだめだ…!きっと次には更に上を行くことを言われるんだ…!
「勿論下着の着用は認めないがな。」
「それはそんな嬉しそうに言うことじゃないよ。」
ほらみろー!それが着物の正しい着方だと知ってはいるけど、今時はTバック位は穿いていい事も知っている!
…でもこれを言うとさらにつけあがる気がする…。等と悶々と考えていると、点けていたテレビから除夜の鐘の音が聞こえ始めた。
「…もうそろそろ、今年が終わっちゃうね、なおちゃん。」
「そうだな。…今年はのおかげでいい年になった。」
急にしんみりとした空気になる。
「来年もよろしくね、なおちゃん。」
「こちらこそだ、。」
私たちは、どちらからともなくキスをして、寄り添いながら新しい年を迎えた。
「なおちゃん、初詣、行こう?」
「あぁ。…でも、その前に…」
「…え?」
そのまま私は後ろにあったベッドへと押し倒された。…何事?
「、姫始めって言葉を知ってるか?」
「知るか!」
なおちゃんの腹に一発キめて、部屋を出た。
「なおちゃん、置いてっちゃうよ!」
「…いいパンチだ……!」
モドル
トジル