05.蒸し暑い教室




やはり私は、彼には逆らえないのだと改めて思い知る。




今は放課後。




生徒会室に来るようにと言われ、一緒に帰ろうと誘われ、私は今、生徒会室の前にいる。




…が、しかし。




(このドアを開けたら元の生活には戻れなくなる気がする…。)




ドアの前で考えているといままで白かったはずのドアが黒くなっていた。




「何だ、いたのか。遅いから呼びに行こうかと思っていた所だ。」




事の発端その人だった。




「やぁなおちゃん。やっぱり私」




「遠慮することはない。さぁ入れ。」




ずるずると引き摺られ、教室内へと押し込まれる。




あぁ、もうこれで後戻りは出来なくなった。




「うわっあっつ!なにこの部屋、窓無いの?!」




「エアコンで冷暖房完備の教室はこの部屋だけだ良かったな。」




「せめて除湿して!窓も結露してるし!」




「…冷房は入れているはずなんだが…」




「…あ、センパーイ、エアコンは入ってますけど暖房モードになってるみたいですー。」




リモコンを持ちながらピッピッと操作したのは私と同じ、1年生の人だった。




「本当におっちょこちょいですねーセンパイはー。アガってエアコンも付けられないなんてー。」




「うるさい黙れ西田。」




「この娘が噂のちゃんですねー。可愛いね。これからよろしく。」




「は、はぁ…。」




差し出された手を反射的に握ろうとすると黒い壁が割り込んできた。




は僕専用のペットだ触るな西田。も握るなら僕のモノを」




「ん?何か言ったなおちゃん?」




私がそういうと教室内がシーンと静まり返った。




私以外の全員の目が点になっている。




「…、左から西田、猪口、漆原、兵藤、妹尾だ。覚えたか?もう帰るぞ。」




「え、ちょっ、待っ…」




取り残された5人は目を見合わせ、肩を震わせている。









「そうだ、今日僕は傘を忘れてしまってな。」




「そのやりとり今朝もやったわ!」




モドル