04.雨降りの通学路
「おはよう!今日も張り切って学校に行くぞ!」
いつもの様に玄関の前に壁のように立ち塞がる、隣の家の次男坊、新城直衛。
しかし彼には、決定的に足りないものがあった。
「…おはよう、なおちゃん。確認するけど、傘は?」
「あぁうっかりしていた。忘れてしまったから一緒に入れてくれ。」
「今すぐ取りにいけぇ!」
そう、今は梅雨。
今日も…というかここ数日、ずぅっと雨が降り続いている状態だ。
「そう固いことを言うな減るもんじゃない。」
「傘の面積が減るわっ!」
「さぁ行くぞ。」
「人の話をきけぇ!」
ずるずると引きずられながら歩く格好になり、最終的に諦めて、仕方なく(ここ強調)同じ傘で登校することになった。
「…そういえばなおちゃん、生徒会長だったんだね。」
「正確にはなったんだがな。」
「ふぅん…。」
「そしては僕専用のペットだ。」
「それは解せない。」
そうだ、この男。引き継ぎ式の時、一番最後に何か変なことをのたまっていなかったか…。
「決定事項だ。良かったな。」
「良くないわっ!なんで私が…」
「だから、なんだがな。」
…ん?今何かサラリと凄い事を言われた気がするが…。
「…いや、気のせい、気のせい…。」
「何がだ…。ということで、今日の放課後は生徒会室に来るように。」
「え、何で?」
「も生徒会の一員だからな。皆に紹介しないと。」
「私は生徒会に入ったつもりはないけどね。」
気が付けばもう学校は目の前だった。
通学路ってこんなに短かったっけ…。
昇降口の屋根のあるところで傘の水滴を飛ばし、下駄箱で上靴に履き替える。
「そうそう、今日はそのまま一緒に帰ろう。」
それだけ言ってなおちゃんは自分の教室へと向かって歩いて行った。
モドル
トジル