02.桜の木の下でお弁当
学校が始まって数日経った。
クラスでは、着々とグループが出来始め、私も漏れることなくグループの輪の中に
…とは言いづらかった。
意外と人見知りする自分の性格を恨まずにいられない。
今日も一人で昼休み。
私はお弁当箱を持って、校舎裏へと向かう。
(良かった、今日も誰もいない。)
大きな桜の木が作る大きな木陰に腰を下ろす。
(…ん?あれは…)
ふと視線を下ろした先に見つけた、人の姿。
僕が見間違えるはずがない、だ。
(どうしたんだ、あんな所で…。)
「ん?センパイ、どーしたんですかー?」
「うるさい黙れ西田。」
「(うわっ酷っ)なーに見てんですかー…あれ、女の子…。」
「見るんじゃない死ね西田。」
「(もっと酷くなった!)なかなか可愛い娘じゃないですか!」
「そんなに目玉を抉られたいのか西田。」
「(今度はリアル!)センパイの知ってる娘ですか?」
「…ちょっと出てくる。僕が戻ってくるまでに心臓の動きを止めておけ西田。」
それまでいた教室を飛び出し、がいた校舎裏の桜に木の下まで全力疾走する。
そもそも何でこんな事になってしまったのだろうか。
何か原因があるのだろうか…。
お弁当をむぐむぐと食べながら考えてみる。
思い当たるのは1つ…いや、1人しか考えられない。
「…まさか…」
入学式の日、電車の中で痴漢に遭ってから、毎日一緒に登校する様になって、挙句休み時間ごとに私の教室に顔を出すようになり、下校も一緒のあの
「なおちゃんが…?まさか…」
「呼んだか。」
「ヒィィッ!?」
「ひどいじゃないか、人の名を呼んでおいて悲鳴を上げるとは。」
「いや、確かに、まぁ、そうなんだけど。」
「しかし、こんな所で1人で昼飯か?友達いないのか?」
「うるさいだまれ。」
人が今一番気にしていることをッ!
何となく反抗したくて、彼を視界に入れないように身体を移動させる。
すると足音もなく隣にどかっと座ってきた。
「ヒィッ!んな、何よ!」
「こんな所にいるから昼休みはいつも捕まらないのか。」
「…ってか昼休みも来てたんだ…。」
「よし、明日からはここに弁当を持って集合だ。いいな、?」
「っあ、う…」
ここで強く反対できなかったのは、私の気の迷いのせいだ。
そうに決まってる。
決して嬉しかったわけではない。
そう信じたい。
モドル
トジル