――それは、俺達に課せられた運命。


逃れることは叶わない。


逆らうことも叶わない。


只出来ることといったら、


その運命を受け入れ、


そして余計な感情を持たない事。


――ああ、俺の片割れ。


お前は今、どこで何をしているのだろうか。


この世界でたった一人、


俺の…


俺 だ け の … …








ここは常世とは異なる時空にある屋敷。
何処まで続いてるかわからないこの空間に、負けないくらい広い屋敷中に、
何やら言い争う声が響いている。
どうせまた彼女が無理難題を言ったのだろう。
関わるものかと心に決め、それまで座っていたソファを立つ。




「だーかーらー!ちょっとだけだって言ってるじゃーん。」
「それがダメレロ!たまからもろーとタマを止めて下さいレロ!」
!ね、も一緒に行こうよぉ!」




棒付きの飴を舐めながら至極楽しそうに笑うこの少女の名はロード。
対して傘の体を振りかざしながらロードを止めようとしているのはレロ。
そう、この屋敷に住んでいるのはノアの一族ばかり。


だけど、私はノアではない。
ロードが悪戯に引っ張る外套―マント―が、私の身を守る道具となる―イノセンス。
私は、ノア側の、ブックマン。
裏歴史を漏らさず記録するために、私はノア側のブックマンとなったのだ。



「ロード、何処に何をしに行くのか位聞かせて頂戴?」
「『巻き戻しの街』にエクソシストに会いに行くんだァ。アレンとかいったっけぇ。」




アレン……その名には聞き覚えがある。
千年公からも、私の片割れからも。
もしかしたら、運が良ければ、会えるかもしれない。




「…うん、いいよ。一緒にいったげる。」
「ぇええっ?!」
「やりィ!じゃあ行こ!今スグ!」
「ろ、ろーとタマ、たま!?」




そのままロードに腕を引かれ、彼女が出した扉から常世へと歩き出した。



「し、仕方がないレロ!レロもついていくレロ!」
「カサぁ〜。早く来ないとおいてっちゃうぞ〜?」
「待ってくださいレロ!!」









モドル